side:Miki Morimoto



「……ひっく。ふぇ………」

あたしは一向に止む気配がない真夏の土砂降りの雨の中、横断歩道の前でまだ泣いていた。

彼に捨てられたという悲しみの涙はきっと、永遠に止まることはないかもしれない。


結局、彼にとってあたしはただの不倫相手。

暇つぶしでしかなかったんだ。



あたしを抱きしめてくれた力強い腕も――。


『愛している』

告げてくれた甘い言葉も――。


全部うわべばっかりで、本心からじゃなかったんだ。

その言葉を本気にして、与えてくれる恋にうつつを抜かして、あたしはおとぎ話に出てくるお姫様になったような気分でいた。

そうして、灰かぶりと言われたシンデレラみたいに、最後は素敵な王子様と過ごしていくんだと疑いもしなかった。


だけど実際、灰かぶりは所詮(ショセン)灰かぶりで、シンデレラのようなお姫様にはなれない。


……そんなの……ひどい。



――本気だった……。

麻生 慶介(アソウ ケイスケ)こそがあたしと家庭を築いてくれる唯一で最愛の人だとそう思っていた。

それなのに、彼はあたしを捨てた……。




――ううん、違う。

彼はあたしだけじゃなくて、あたしの中にいる子供も捨てた。

しかも、働く場所もない。

会社の寮に住んでいたから、住む場所だってない。


あたしのライフスタイルごと全部、慶介に奪われてしまった……。


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