マスカレード【仮面de企画】
龍の仮面―羽竜圭吾
志鶴が微笑んでいる。
でも、あれは退屈している時の偽りの笑顔だ。
僕は、仮面パーティーが開かれているホールを見渡せるテラスから、志鶴を見つめていた。
志鶴は母方の従妹で、僕と一緒に暮らしている婚約者だ。
彼女が大人になるのを四年近く待った。
なのに
年が明けて、春になったら結婚式だという今になって、志鶴の様子がおかしい。
何かを悩んでいるのか、ふさぎ込む事が増えた。
僕は少しだけ人とは違う力を持っている。
その気になれば、志鶴の心を見る事もできる。
でも
そこに僕の知りたくない答えがあったら?
僕は怖くて真実を知ることを避け続けている。
「浮かぬ顔だな、羽竜の」
横から声をかけられた。
顔を上げると、僕とさほど背丈のかわらない女性がいた。
青とも銀ともつかない不思議な色合いのドレスと銀製の仮面を身につけている。
よく見ると、仮面は龍を象っているようだった。
「そなたの姫を放っておいてよいのかえ?」
でも、あれは退屈している時の偽りの笑顔だ。
僕は、仮面パーティーが開かれているホールを見渡せるテラスから、志鶴を見つめていた。
志鶴は母方の従妹で、僕と一緒に暮らしている婚約者だ。
彼女が大人になるのを四年近く待った。
なのに
年が明けて、春になったら結婚式だという今になって、志鶴の様子がおかしい。
何かを悩んでいるのか、ふさぎ込む事が増えた。
僕は少しだけ人とは違う力を持っている。
その気になれば、志鶴の心を見る事もできる。
でも
そこに僕の知りたくない答えがあったら?
僕は怖くて真実を知ることを避け続けている。
「浮かぬ顔だな、羽竜の」
横から声をかけられた。
顔を上げると、僕とさほど背丈のかわらない女性がいた。
青とも銀ともつかない不思議な色合いのドレスと銀製の仮面を身につけている。
よく見ると、仮面は龍を象っているようだった。
「そなたの姫を放っておいてよいのかえ?」