アザレア
「流石だな、メイ」

「痛み入ります、社長」

私が企画、起案した販売施策の結果である膨大な量のデータ。

限界を迎えるまで全てのタブを立ち上げ、それを目にも止まらぬ速さでロールバーをスクロールさせているにも関わらず、細部まで見落とし無くチェックしている社長の方が余程“流石”だと思う。


パソコンのディスプレイいっぱいに表示された複数のグラフ。

英語と数字が入り混じる文字の羅列。


完璧とは、この人の為にあるような言葉だ。
端整なビジュアル然(しか)り、能力を携えた肩書き然り、洗練された身のこなし。

『株式会社 azalea
 代表取締役兼社長 篠宮 誠』
彼は間違いなく上流の人間であり、最上級と賞賛される男だった。
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