蜜色オフィス
◇「騙されやすいにもほどがある」



「え、じゃあこれをつけてるだけで、運命が変わるって事ですか!?」
「そうなの。
これは金運だけど、恋愛、健康、仕事……、色々あるのよ。
あとは、人間関係だとかも。
それがひとつ1万円なんだから安いでしょ?」
「それって、いくつもつけても大丈夫なんですか?
二つつけるとケンカしちゃうとか、ないですか?」
「もちろん! ちなみにどれが気になってるの?」
「えっと、仕事……? ううん、恋愛になるのかな。
あ、でも、人間関係……?」


路上で販売していたブレスレットに見入っていると、腕を引っ張られた。
見上げると、少し怒ってるみたいな宮坂の姿。


「申し訳ないですが、必要ありませんから」
「え、あ、ちょっと……っ」


それだけ言ってぐいぐい引っ張っていく宮坂に、引きずられるようにその場を離れさせられる。
未練の残る路上販売のおばさんをチラって見てから、早足で歩く宮坂を見上げた。


「なんで? 私、買おうと思ってたのに」


文句を言うと、冷たい視線が返ってくる。



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