蜜色オフィス
◇「頼むから、大人しくしてて」



「おいしかったー。
最後のデザートバイキング、すごかったね!」


ホテルのレストランは20階にあった。
食べ終わった後、降りるためのエレベーターを待ちながら言うと、宮坂はふって笑う。


「いつもの倍は食べてた気がするけど」
「だってバイキングだもん。
食べなくちゃ損じゃん」
「よく甘いモノだけを、あんなに食べられるな」
「宮坂、全然食べてなかったよね。
もったいない」
「あまり得意じゃないし。
男で甘いモノ好きなヤツ、そんなにいないだろ」
「あ、でも、福田くんは好きだって言ってたよ」
「だから今度一緒にケーキバイキング行きましょうって?」


ピタって時間が止まる。
だって、宮坂が言った言葉が、何週間か前に本当に福田くんに言われた事だったから。



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