蜜色オフィス



「こんな事言うの悪いんだけど」
「え?」


突然、隣の席から話しかけられて、抱えていた頭を慌てて上げた。

お昼休みの静かなオフィス。
省エネのために、灯る蛍光灯は業務時間の1/3。

薄暗い部屋に差し込む太陽の光が、宮坂の薄い眼鏡を反射させた。


「ごめん、何か言った?」
「『こんな事言うの悪いんだけど』って」
「うん?」
「うるさい。独り言にしても、うるさすぎるんだけど」


真顔のまま言い放たれた言葉は、かなり失礼なモノだった。
眉を潜めて口を尖らせる。


「……本当に悪いと思ってる? すっごいストレートなんだけど」
「これでもだいぶ我慢してたしね。
……でも、頭抱えて唸るほどの仕事って何?
早川の仕事って単純なデータの打ち込みと、お茶くみとかコピーとか雑用だと思ってた」
「……宮坂の言い方ってなんでそんな刺々しいの? 普通に傷つくんですけど」



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