彼と彼女と彼の事情


二人で挨拶をし、重厚なドアを開けると―― 


外は

冷たい雨が降っていた。 


心が冷えきった私の体に、さらに冷たい雨が降り掛かる。 


思わず、目を瞑り、天を仰いだ。


額から頬へと流れ落ちる、雨の滴。


この雨と一緒に、すべて流れてしまえばいいのに……。



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