牛乳と猫スーツ。
10…番長VS番犬。
午前5時。今日は日曜日だ。
授業もなく、部活も早くて昼からだろう。しかし起きてしまった。
起きたかったわけではない、ただ喉の渇きを感じたのだ。おもむろに冷蔵庫を開き、水を飲むが異様な味と喉越しに驚き吐いた。
昨日、別館から戻ったときに、直樹は悠斗と雑談した事を思い出した。
悠斗は前々から水の味は飽きると言って、何か対策を考えていたらしいが、まさかお茶にプロテインを入れるとは思わなかった。
自分だけのお茶に入れるならいいが、人の物にまでアレンジを加えるのはやめてほしい。
口の中の不快感に耐えながら、部屋を出た。
自販機を目指し歩いていると、人の後ろ姿が目に入った。髪は足元まである長髪で、色は銀色。そんな人物を直樹はよく知っている。
「彩華さん…?」
その後ろ姿は彩華によく似ていた。ただ、トレードマークのポニーテールではなくストレートで、微風に髪全体が揺れる姿は、まだ日が昇らないこの青白い世界に同化して、とても綺麗だった。
いつの間にかその姿は消えいて、あまり気にすることなく自販機でミネラルウォーターを買い、部屋に戻って二度寝した。