青い向日葵
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開けっぱなしの教室の窓から、少し湿った風が入ってくる。
空は、夕方には雨が降りそうな薄い鉛色をしていた。
昼休み、机に突っ伏して目を閉じていると、冷ややかな顔をした春野が浮かんだ。
彼女のほわんとした雰囲気とは真逆の、冷めた瞳。
春野の傷の深さは、想像してもどれほどのものか、俺にはわからなかった。
父親は残業ばかりで家庭を顧みないし、母親は自分の気持ちを父にわかってもらうことを諦めたようだったが、俺の家庭は世間一般的に見て多分「普通」だ。
春野の抱えているものは、間違いなく俺より重い。
普通で平和な自分の悩みが、なんだかちっぽけに思えた。