青い向日葵
10



6年後。



「ありがとうございました」


文具店の店主に頭を下げ、意気揚々と店を出た。


よし。新作のボールペン、置いてもらえたぞ。


小さくガッツポーズをしながら、軽い足取りで大通りを歩く。


湿気が多くやたらと熱い日本の夏は、営業にとってはまさに地獄だった。


俺は。


サラリーマンになった。


高校を卒業して、大学に進学し、当たり前のように企業に就職した。


増田とは、あれから微妙な関係を続けていたが、大学進学を機に音信不通になった。


俺は、いい意味でも悪い意味でも、大人になった。


もう、夢を語った青い頃とは、違う。

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