わかれあげまん
Make Fake Luv




柚は滔滔と流れるシャワーの下に佇み身体を晒していた。



熱めの温度のシャワーを勢いよく浴びていても、何故だか気分は一向に晴れて来なかった。


さっきフロアで見た渡良瀬の寂しげな表情と。


ルチアに抱きしめられ、幸せそうに表情を緩ませた哉汰の顔が交互にちらつき、柚はギュッと眼を瞑りフルフルと頭を振ってそのビジョンを追い払った。




だめだ。


何か今日のあたしって、ヘン。






せっかくのみんなとの飲みの席だけど、今日はとにかく徹底的にペースをキープして。


一次会終わったら、先輩に捕まる前に速攻タクシー乗って帰ろ。






溜息を落とし、シャワーコックを閉め、ポリプロピレン製のカーテンの向こうに手を伸ばし、バスタオルをつかんだ。




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