わかれあげまん
モテ男=3回の定義
「VD1」というメタルプレートの貼られたドアを開け、哉汰がその部屋へと入る。
両の壁際に配された4つのデスクと、真ん中にある応接セット。
その応接用ソファに座って談笑していた3人の男子学生が一斉に振り返った。
「およ?哉汰。お前この時間、デザインB論じゃなかったけ?」
「あー。ちょっと遅れたから今日は出んのやめた」
哉汰は答え、彼らの傍へ歩み寄ると空いた座席にボスッと腰を下ろした。
「珍しいな、お前が授業に遅れるなんて。もしかして例のカノジョに足止め喰らったとか?」
向かいの学生がニヤついて尋ねてきた。
「いや」
哉汰は無愛想に答え、テーブル上にあったデザイン誌を手に取り開いて読み出した。