わかれあげまん
美也子はすぐに柳眉を跳ね上げ、
「ふ、藤宮!?」
と頓狂に声を上げた。
どうやら美也子は藤宮哉汰に関する何らかの情報を知っているらしいが。
「モチ知ってるわよ。VD1回生の超有名人じゃん」
「えっ.そうなの?」
「その藤宮くんがどうかしたの?」
「ん~。なんていうか、昨日とおととい、お世話になっちゃって」
世話になった?
とまた胡散臭そうに眉をひそめた美也子。
「まさか……寝たの!?」
はあっ!?
と柚は小さな身体をソファの上で跳ね上げて、慌てて叫んだ。
「ち、違う違う!そじゃなくて色々.あたしがドジして、偶然助けてもらっちゃっただけ!」
真っ赤になって必死に否定したら美也子はホッとしたように肩を落とした。
「なんだ、ビビッた!あたしてっきりあんたが渡良瀬先輩のことで自棄になってあの哉汰くんに手ェ出しちゃったのかと……」
「もお!美也子、憶測ぶっ飛びすぎだから!」
柚はまだ赤い顔で美也子の早とちりを責めた。
それとも美也子は、あたしじゃやりかねないって思ってるんだろうか……
と少し不安になりつつも。