わかれあげまん
渡良瀬の野望
* * *
「おわっ!!帰って来た帰って来た~!」
およそ一時間後、VD1部屋に戻ってきた哉汰を出迎えたのはもちろん、気の置けないVDのルームメイトたちだった。
「おっかえり~哉汰ぁ♪」
「っつかおまえ!…何星崎さんと消えてんだよ!?」
「どこいってたの?なあなあ」
口々に言いながら詰め寄る彼らの顔は一様に興味深々、そして見るからに下世話なギラギラ探究心にまみれていて、哉汰は目を逸らしドッと溜息をついた。
「…別に。」
「またぁ!んなそっけない答え方しねーで聞かせろよ、哉汰!てゆーか俺らには聞く権利があるぜ!なあみんな!」
哉汰の脇を突きながらそう言った一人が眉をひそめ小声で囁いた。
「あのあとまた渡良瀬さんここに入ってきてさ。俺らひとりずつ尋問されたんだからな!」
尋問?と訝しげに哉汰が見返すと、彼は憮然として言った。
「星崎さんとお前がどういう関係か教えろってしつこく聞かれたんだ。」
「何?」
哉汰は僅かに表情を引き締めた。