わかれあげまん
マブダチ講師


柚が再び哉汰に会ったのは、数日後の週末、バイト先の美術研究所だった。


「っはよーございまーす。」


下宿先から電車を乗り継ぎ来た柚が、研究所スタッフルームに入り、一瞬キョトンと目を見張った。


背中に手を回し黒いエプロンの紐を括っている哉汰がそこに立っていた。


「…れ?藤宮…くん?」


ネイビーのシャツに黒いスリムブーツカット姿の、飾り気ない哉汰が顔を上げ柚を見て、ああ、と目元を緩めた。


「おはよう、先輩。」


「…えと、あれ。何で?受験生コースはこの時間はまだ…」


すると哉汰は着用した黒エプロンの裾をパシッと払い、


「あんたの助手。」


と無愛想に呟いた。



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