西野くんの偽カノジョ




1時間目が終わって、お互い教室に戻ると…



クラスの女子の何人かが「ごめんなさい。」と謝ってきて、教科書取り寄せてもらうまで自分の教科書を貸すと言ってきた。



「そんな…あたし、ひとみに見せてもらうから大丈…」



「結衣、借りなよ。この人たち、私が西野くんを呼ばなかったらもっとしようとしてたんだから。」



西野くんを呼んでくれたのはひとみだったんだ。



彼は他のクラスなのにどうして気付いたのかと思ってたら…そういうことだったんだ。



「…うん。」



あたしは「ありがとう」と言ってその人たちから教科書を借りた。ノートもビリビリにされた見たからルーズリーフも大量にくれて、今までの所はノートを作り直してくれるみたいだ。



「もう二度とこんなことしないから。私達西野くんに振り向いてもらえないの今日でよく分かったから諦めるよ。



…本当は前から振り向いてもらえないのは分かってたんだけどね。
でもどうしても振り向いて欲しくて諦めることができなかったんだ。



教科書貸して、ノート作り直しただけで許してもらえる訳ないのは分かってるから、西野くんのことが好きな女子達が梶田さんたちに何かしてきたら絶対に阻止するから。



だから許して下さい。」



と頭を下げられた。



そんな…そこまでしてくれるなんて。



みんな泣きながら謝ってくれて、一瞬ひとみの顔を見ると頷かれて



「…いいよ。」



とそれだけ言った。



そうするとみんな嬉しそうに「ありがとう」と言ってきた。



本当はあたしも謝ろうと思った。あたしが西野くんと付き合うなんてことをしたからこうなったから、自分が発端だと思った。



でもそんなことをしても相手は全然嬉しくないと考えたら言わなかった。





< 195 / 355 >

この作品をシェア

pagetop