セックス·フレンド【完結】
「思ったより、紅葉してなかったな」


お弁当を食べ終えて、一服しながら隆也が周りを見渡した。


「まだ少し早かったかもね」


色とりどりとは言い難い、まばらに色づき始めた木の葉は、でも、あたしの目にはとても美しく写った。


例え、ここに生える木がすべて枯れていようとも、きっと今日見た景色は美しいものとして、あたしの心に残るだろう。


どこへ行こうが、隣に、隆也がいる。


彼の視線や微笑みがあたしだけに投げかけられ、近くで彼の呼吸を感じる。


そのことのほうが、ずっと重要だった。
< 74 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop