抹茶な風に誘われて。

Ep.9 動揺

 真っ向から聞かれたのなんて、初めてだった。

 会いたいから、会いに来てもいいのか。

 恋をしたらいけないのか、だと?

 そんなことをわざわざ口に出す女がいるなんて。

 いやそれよりもまさか本気で俺に興味を持ったっていうのか。

 あんな小娘が――。

 さすがの俺も動揺してしまった。

 駄目元たちが茶化すから余計に正常な思考が働かなくなって、俺は曖昧にごまかして追い返した。

 だってそうするしかないだろう。

 お遊びならまだいざしらず、この俺が一回り以上も年下の少女を恋愛対象として見られるはずなんてない。

 第一下手に手を出せば、犯罪で訴えられたっておかしくないんだ。

 ホスト時代に散々いろんな女を相手にしてきた俺だって、未成年は未経験だ。

 だから、俺は早々にこのお遊びをやめにすることにした。

 興味本位で近づけば、まさに火傷することになるのだということに気づいたから――。

 そう、火傷するのは俺のほうだということに。
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