あやとり

甲斐君



昨日、あんなシーンを見てしまったせいで、今日はやたらと教室の一番窓際で後ろから二番目の席に目がいってしまう。

そこは甲斐君の席だ。

甲斐君は、教室内のことには何の興味も持っていないような顔で、窓の外を眺めている。

背は高いし、それなりの容姿の持ち主ではあるが、特に人気があるわけでもなく、優等生でもなく、運動神経抜群というほどでもないと思う。

もし、クラスメイトに階級をつけるとしたら、誰もが彼を『平民』に位置づけるのでは、とさえ思う。

ごく普通の高校生男子である。

そういえば、一度だけ隣のクラスの女子から告白されているところを誰かが目撃したとかしないとかで、話題になったことがあったかもしれない。

こうやって改めて彼の横顔を眺めて見ると、今まで持っていた彼への印象と違うものが生まれてくる。

思っていたより綺麗な顔をしていることに気付く。

なんというか、ちょっとほかの男子とは違うような気がしてくる。

何しろ、あの優ちゃんと対等にしていたのだ。

そのことがかなりのポイントになっている。



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