夏合宿ただの軽音部

プロデュース

「さあ練習開始 とりあえずワンクールまわしましょうかね」ナオはいつもどうりに言葉を発した。 ひととうり演奏がおわり 休憩。ヒロだけがスタジオに残り目を閉じて小刻みにリズムをとっていた。ナオは自慢げに「うちのバンドなかなかなものでしょ」「ヒロも少しやすみなさい」少し上から目線で言い放った。 再び練習が始まるとヒロが音響ブースからメンバーへあれこれと指示を始めた。メンバーは新鮮味があったためか素直に答えたがナオだけは自分の庭に土足で踏み込まれた気分でいきどうりを隠せなかった。演奏がはじまりヒロの目つきが変わった。それはまさに近寄りがたいアーティストのオーラをスタジオ中に放ったのであった。演奏のサウンドは同じ曲でありながら まるで別人達が演奏しているかのようなものであった。もともと実力はあるバンドなだけにその仕上がりはプロと変わりないものであった。 始めの演奏だけで既にこの仕上がりがヒロの中にイメージできていたのかとナオの体に電気が走った。「これで行きましょう 来週のサマフェス 俺さっきエントリーしてきました ちょっと知り合いがいたもので オッケー貰えたんで」メンバー全員がキョトンとなった。 「サマフェスってあのサマフェス?」「プロでもないのに何で出場できるの?アタシ去年見に行ったんだけど?」 「まるでアメリカンドリーム」カオリは鳥肌がたっていた。 ナオが突然「無理よ だってボーカルいないしこの曲 歌詞もないじゃない」沈黙が長く続いた……
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