夏合宿ただの軽音部

過去

沈黙を紛らわすかの様に「少し休憩するかな」タケルが場の空気を読んで メンバーは散らばった。 ヒロは独り浜辺へ向かい タバコに火をともし過去を思い出していた。 ヒロは二年前 作詞作曲プロデュースと全てをこなし4人バンドのボーカルとしてレコード会社期待の新人としてリリース間近だった。しかしヒロのワンマンバンドからメンバー内に亀裂が入り やもえずバンドはリリース前に解散させられた。ヒロの人一倍の音楽に対する情熱がバンドを解散に追い込んだ。ヒロはそう認識していたがレコード会社側は他のメンバーがプロとしての土台が出来ていなかったと考えていた。それからヒロは音楽から離れ歌うことを拒絶していた。そんな時 音楽を仲間と純粋に楽しみ メンバーを大切にそして信頼しているバンドに出会えた。ヒロは心の底からうらやましかった そしてこのメンバーを人として好きになれた 音楽がまた好きになれた。しかしそれが彼らには重荷になりつつある このままではまた同じ事を繰り返す 俺のせいで…。何時間過ぎたであろうか 夕日が地平線近くまで落ち 淡いオレンジが波を乱反射させていた。
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