何度忘れようとしても
CHAPTER Ⅰ
家から5分ほどでたどり着く駅から、1駅分だけ電車に乗って降りる。

海を埋め立てたそこは、商業施設やホテル、オフィスビルがたくさん建つ比較的新しい都市だ。

夜はドライブコースに、休日はショッピングにと、デートスポットとして人気のその場所に私の通うオフィスビルはあった。

駅前のエスカレーターに乗り立体歩道を5分ほど歩けば、ビルの受付のある2階へとたどり着く。

夜はゆったりと夜景が見渡せるこの歩道も、朝は通勤する急ぎ足の人達でいつもごった返した。
私も人波から取り残されないように、ひたすら足早に歩く。


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