本と私と魔法使い

図書室の秘密

「―…本に閉じ込めるってどういうことよ?」
「此処がどういう場所か知らないの?」

図書館でしょう?私は問われている意味が分からなかった。馬鹿な子ねぇ、とお姉さんは呆れたように笑った。


「此処にはサリサが遺した宝が此処には保存されている…私達には、宝を奪いにくる人間に抗う術を頂いているの」

「…さり…さ?たから?」
私はさりさだか宝だかなんにも知らないし、興味ないんですけど?!

冤罪すぎる!!

「その一つが”侵入者またはこの場所を侵すものを本に閉じ込め、在るべき場所へ帰す”というもの。
まぁ、あなたは知らなくて充分ですけれど…ね。」

一回話し合おう、お願いだから、ちょ、弁護士呼んで!!と首にさらに力をいれられて掴まれた私は心の中で叫ぶ。

お姉さんは呪文らしきものを唱え始めた。

私終了のお知らせ?嘘でしょ?
ちょっ、ヤバいって?!
なんか王子様的救世主(メシア)出て来なさいよ?!

最早、自分の思考回路がやばい気がするけど、パニックだから仕方ない。

「止めろ、アイリス」

静かな声が響いた。

「王子…」

本当に来ちゃったの?

お姉さん、アイリスは私を勢いよく突き放す。突き放された私は背中と頭を打つ。なぜそんな扱いをされなければいけないんでしょうか、私。
くるん、と王子仮に腕を絡ませた。

王子って、私は失笑を抑えながら、上を向いた。

どの面か拝んでやる、と少しでも微妙なら笑ってやろうと思った。
けど、私は次の瞬間、息を呑んだ。

…綺麗な顔。
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