ふたりの総長〜恋を知る〜
☆3

本音

それから何事もなかったように月日は流れ、気づけば卒業式の前日になっていた。
石山君に再会したあの日以来、石山君の言葉が頭に浮かびボーッとすることも度々あった。
けど、時間というものは不思議でそのうち石山君のことを考えないようになった。


無理に考えないようにしているわけではなく、自然と考えなくなった。
やっと石山君への気持ちに区切りでもついたんだろうか。
そう思っていたある日のことだった。



いつものように溜まり場で過ごしていると悠基が慌てた様子で部屋に入ってきた。


「どうしたんだ?そんなに慌てて。」


「石山が事故に遭ったらしい。」


「えっ・・・」


あたしは思わず読んでいた雑誌を床に落とした。



「車と衝突したみたいだ。入院してたみたいだけど今は家で療養中らしい。何でも専属の医者がいるとかで。」



「そ・・なんだ。それは不運だな。でも家にいるってことはたいした怪我じゃないんだろ?」


あたしは平然を装って床に落ちた雑誌を拾い、テーブルに置いた。



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