大人的恋愛事情
欲情
 
その日その後買い物に出て、新しい鍵を買い、ついでに夕食の材料を買って帰る。



「男って、ホントこういう食べ物好きよね」



キッチンに立ち、隣で私の指示通りにハンバーグを作るためのミンチ肉を捏ねる藤井祥悟が、何気なくそんなことを言った私の手元をチラッと見た。



「女ってそういうの好きだよな」



そう言われて、目の前の火にかけた鍋を見る。



「嫌い?」



「嫌いでもないけど、好きでもないな」



「なにそれ。美味しいのに」



「ようはスープだろ? スープで飯は食えねえ」



「スープじゃないんじゃない?」



「どう見てもスープだろ」
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