幸運の小さいおじさん

いい物、見っけ。

部屋の片隅に、小学校の頃、カブトムシを飼っていたプラスティックの透明な容器に網状になってる蓋の付いた虫かごがあった。

それを手に取り、小さいおっさんを鷲掴みした。

「ぐえっ・・・・・」

「うっわ、ごめん!」

ちょっときつく掴みすぎたのか。苦しそうにもがく小さいおっさんを、逃げられない様に注意しながら力を緩め、虫かごの中に入れた。

「げほ・・・げほっ。何するんじゃい!!出せ、ここから出せーーー」

容器を叩きながら、僕を睨みつけて訴える。僕は驚きながらも観察することにした。

これは、小人?幽霊?妖怪?妖精?

僕が想像する妖精は、かわいくて羽根なんかあって飛べるはず。
目の前にいるこれは、どう見ても、おっさんだ。
しかも小っちゃい。

「出せって言ってんだろうが、この野郎っ」

かなりお怒りでいらっしゃる。

「嫌だね。出すもんか。ここは僕の部屋だ。おっさんは不法侵入者だ。」

「なんだとぉー、この野郎っ、おっさん言うなぁ!!おじさまって言え!」

僕は驚いた。おっさん、突っ込むの、そこ?

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