日常的幸福論~もうひとつの話~
エピソード1

ライバル登場!?

それは日本国民全員が驚いた、間宮飛鳥結婚記者会見から1ヶ月経った日のことだった。


大学を無事に卒業したあたしは就職せずに専業主婦の道を選んだ。


本当は働くつもりだったけど、あたしの就職に飛鳥が


「……やりたいことがあるなら止めはしない。ただ社会に出たいだけっていうなら止めておけ。沙依ひとり食わすくらいの財力ならあるから」


と言われた。


それをお母さんに言ったら「飛鳥が稼いでるから貴方は飛鳥が快適に生活できる空間を作りなさい」と笑っていたけれど。


確かに不自由なく暮らしてるのは飛鳥が頑張って働いてくれてるからで。


そんな飛鳥に居心地の良い家を作ることがあたしの仕事だと今は思っている。


でもさすがに昼過ぎると掃除洗濯は終わってしまって、夕飯の準備にはまだ早い。


やることがなくなり広いリビングで一人、飛鳥主演のドラマ「冬に咲く花」の再放送を見ていたときにあたしの携帯が鳴った。


ディスプレイに表示された名前を見てイラっとする。


『もしもし~?』


「……なによ?」


『えっ、何?機嫌悪い?新婚のくせに?』


「誰のせいだと思ってんのよ?」


『えぇ~俺っちのせいなのぉ?仕事なんだから仕方なぁいじゃん』


電話の向こうのおちゃらけた声が更にムカつく。


「あんたが地方撮影のスケジュールを組むから飛鳥と3週間も会えてないんだからね!!わかってんの、悠一!?」


電話の相手、有坂悠一。


去年、飛鳥主演の短編映画「バタフライ」で注目を集めた若手の映画監督。


そして、あたしの幼なじみ。


監督にしておくのはもったいないとメディアが騒ぐほどの顔立ち。


あたしからすれば飛鳥の方が何億万倍も素敵だけど。
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