「課長、今度の会議の資料ですが」


仕事中は、もちろん素知らぬ顔で話しかける。

課長も付き合い始める前と、態度を変えたりはしない。
相変わらず、厳しい上司だ。

だから当然、三課の誰も私達の関係に気付いてはいない。


営業課員として一人分の仕事がきちんとできるようになってくると、仕事の量も増えてきた。

会議では話を聞いているだけだった私も、プレゼンテーションさせてもらえるまでになった。


「あぁ、この案件の経過報告をもう少し詳しくしてくれ。
成功例として皆に紹介してほしい。
あと、来週の出張だが、相澤に同行してもらいたいと思っている」

「……はい」



高鳴った鼓動を隠すために、冷静な顔をして返事をする。

すると、少しだけ微笑んだ気がした課長は、またすぐに読んでいた資料に目を落とした。