私の家庭は、頑固者の父を中心に回っていた。

父はなんでも自分の言うとおりにいかないと、怒鳴り散らす。
そして、それに怯えて暮らす母と、歯向かって殴られる、弟の聖(ひじり)。

そんな家庭のせいか、一刻も早く家を出たくて、わざわざ遠い大学を受験して、今に至る。
聖も私と同じように、大学進学と同時に家を出た。

私たち姉弟は、愛に飢えていたのかもしれない。


“営業部第三課”

それが医療機器メーカーに就職した私の配属先だった。

営業三課は、新人研修中に、何度も話題に上がったところ。

営業部の中で、特に専門知識のいる商品ばかりを扱うという部署で、売上高も他の課とは一桁も二桁も違うとの噂。

それでいて、課員数は最少だとか。