カテキョにぞっこん!
射たれる


中学3年、夏ーーー




照りつける太陽と吹き抜ける熱風。



私と親友の香奈は、流れる汗を拭いながら、いつもの帰り道を歩いていた。




目の前に水があれば、いつでも飛び込めます!といった状態の毎日。


夏が勝負の受験生とは言っても、
こんなに暑い日が続いたら、頭の中まで沸いてしまう。






「じゃあ香奈、
1時間後に待ち合わせね~」


「オッケー!すごく可愛い水着買ったから、期待してなよ」


「へぇ~、
見せる彼氏でもいればいいけどね」


「由利は彼氏も同然じゃ~ん」



香奈は手を振って、自分の家の方向に帰っていった。



私が彼氏って……
失礼なこと言わないでよ(汗)

これでもしっかり女です!






私と香奈は、これまで彼氏というものに無縁だった。


中学生になると、
恋に花咲く学校生活が送れると想像していたりしたけど

誰もがその対象になれるわけではないらしく……



気がつけばもう3年生。最終ラウンド真っ盛りに入っていた。







「ただいま〜」


1学期の終業式を終えて、
さてこれからいよいよ、待ちに待った夏休み!という感じで

香奈とプールに行く約束を取り付け、ウキウキ家に帰ってきた私は

玄関にある、見なれない白いシューズに気が付いた。




お客さん……?




にしては若そうなそのデザインに頭を傾げて、私はソロソロとリビングに向かう。




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