あくまで天使です。

三日目 パニック




寝不足だ。


もちろん原因ははっきりとしている。昨夜のべリアルの深夜徘徊だ。


そのままにしておけるはずもなく、薄手のカーディガンを羽織り町中を駆け回った。


異種族ということを隠すどころか堂々と見せびらかしている彼が、私以外の人間に見つかってしまったら大問題だ。


あの美しい羽根で空を飛んでいる姿を見られでもしたらもう死ねる。


なぜここまであんな鬼畜野郎を案じているのかはわからないが、きっと私の世話焼きな性格がかかわっている。


姿を見られ、天界にでも帰ってくれたらいいのに、とどこかで思いつつも家の中でじっとしていられない。


結局、家の玄関で待っているとやがてビニール袋を提げたべリアルが帰宅した。


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