魔女の悪戯
クリスティア城

忠純は目を閉じたまま、攻撃が迫ってくるのを感じ、さっと構え直して受け流す。


キィンッ──!!


「えっ?」


およそ木刀とは思えない音が響く。


まるで、刀と刀のぶつかったような…。


驚いて目を開いて顔を上げると、再び攻撃が来る!


ギリギリで受け流し、バッと身を引き間合いを取る。


「えっ…」


全身にずしっと負荷がかかる。


本当にどうなっているんだと、少し後ろに引きながら周りを見渡す。


「なっ…!」


たしかに私は岩佐の城にいたはずだっ。


忠純は信じられないと、剣を持っていない方の手で頬をつねる。


鈍く伝わる痛みが、夢でない事を教えてくれた。


忠純が見た光景──。


石造りの、広い広い室内。


壁には剣や槍や鎧や盾がかけられ、いくつもの大きな窓もある。


城内の道場に似ているが、広さが十倍、いやそれ以上だ。


その広い室内にいるのは、銀色の鎧に身を包んだ屈強そうな男たち。


その男たちの見た目は、これまで忠純が出会ってきた人々と全く違っていた。


ある者は茶色、あるは赤、ある者は金色…。


黒とばかり思っていた髪の色は色とりどりで、忠純を驚かせた。


現に、忠純と対峙しているこの男も、茶色い髪と瞳をしている。


男たちと自分が身につけている鎧だって縅の具足とは似ても似つかない銀色で、形もおかしい。


自分が構えている剣も、刀の美しい反りすらない直刀で、しかも両刃。


突然のことに、いつも想っていた柚姫のことなど考えられないくらい忠純は混乱していた。


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