子供のような態度を取ってしまった三成は桃の前から去ろうとしたのだが…


その手を桃が握って離さない。


「なんて説明すればいいのかわかんないの。だから、怒らないで…!」


「…怒ってなどいない。そなたを振り向かせることができぬ己に憤慨しているだけだ」


なお桃から離れようとして歩き出したが脚を踏ん張って何とか引きとめようとしている。


――揺れる心にこうして付け入って桃の心を手に入れたとしてもきっと虚しさが残る。


あの上杉謙信には対等に立ち向かって桃の全てを手に入れたい。


…本来ならば、共に眠ることもこれは卑怯な真似なのかもしれないと感じているのに――


「…だから…謙信さんにどきどきすることもあるけど、私は三成さんの方が…」


途中尻すぼみしてしまう小さな声を三成は聞き逃さなかった。


「…なに?もう一度言ってくれ。聞こえなかった」


「え…」


急に桃の手が熱くなったのを感じて、三成は桃ににじり寄る。

顔色を赤く変える桃につい意地悪をしてやりたくなって、背を屈めて顔を近付けた。


「俺の方が、何だと?」


「え…き、聞こえてたでしょ!?」


「聞こえてない。だからもういち、ど…」


さらに言い募ろうとした時…


桃が一度ぎゅっと目を閉じて、肩に手をかけてくると、自ら唇を唇に押しつけて来た。


「…!」


「こ、これが答えだから!」


逃げようとした桃の手を今度は三成が掴んで胸の中に抱き寄せる。


「や、やだ、離してよ…」


「謙信より、俺の方がいいんだな?」


「い、今はね。三成さんが“ふらふらしてもいいよ”って言ったんだから私が謙信さんにときめいたって別に…」


また謙信の名が出て抱き上げると、目線の高さにきた桃の唇を一度舐めて低い声で囁いた。


「そうは言ったが俺にも我慢の限度というものがある。たまには俺のこともあんな目で見つめてくれ」


「んん……っ」


驚きで開いた唇に舌をねじ込んで、無理矢理絡めて味わうと、少しだけ舌が動いて応えてくれた。


桃に関してはまるでこらえ性のない三成は、しばらくそうして桃を味わった。

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