三成がネックレスを取りに行っている間、食事を幸村の部屋まで運びに行く。


部屋を開けると寝ずに身体を起こしている幸村を見て桃は頬を膨らませて怒った。


「幸村さん、なんでちゃんと寝てないの?!」


「そんなに大した怪我ではないので…」


「駄目だよ。お願いだから横になってて?」


うるうるした瞳で見つめられて、実は内心嬉しさ絶好調の幸村は何とか堅い表情を作りながら頷いた。


「ご飯持ってきたよ。腕痛いでしょ?私がやったげるね」


「え…?」


ぽかんとしていると匙でおかゆを掬い、幸村の口元まで持って行く。


「はい、あーんして」


「あ…、あーん!?」


「あ、ちょっと熱いかな…ふぅふぅしてあげるね!」


「ふ…、ふぅふぅ!?」


――よくわからない言葉ばかりが桃の口から飛び交って、おかゆに息を吹きかけている桃の少し俯き加減な長い睫毛に思わず見入ってしまった。


「はい、これで少し冷めたと思うよ。あーんして!」


「あ、あ、あーん…」


口を開けると桃がゆっくりと匙を入れてくれて、桃が息を吹きかけたおかゆをもぐもぐと食べながら内心飛び跳ねて喜ぶ。


「美味しい?」


「は、はい…。なんとお優しい…」


「ううん、私のせいで怪我したんだもん」


にこっと笑った桃がまたおかゆを口元に運ぼうとした時――


「桃姫ーっ、一大事でござりまする!」


いきなり襖が開き、兼続が息を切らせながら走り込んできて、ひざまずいた。


「ど、どしたの?」


驚いて言葉の出ない桃に、兼続は目を真ん丸にさせながら何が起こったかを説明した。


「姫の“ねっくれすと”というものから、何やら話し声が聞こえるのです!」


「…え!?」


――もしかして、急に姿を消した自分のことを心配して、姉たちが何かアクションを起こしたのだろうか!?


…だが、そんな機能があるなんて、聞いてない。


一縷の希望を捨てきれず、立ち上がると一目散に走り出す。


「お姉ちゃん…お姉ちゃんたち、きっと心配してる…!」


急に、懐かしい気持ちが溢れ出してきた。

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