僕は生徒に恋をした
第九章 混乱
『好きな人と花火を一緒に見ると、両思いになれるらしいよ』

欠けることのない花火を見て、俺の頭の中に小野寺の言葉が浮かぶ。

俺はまさに今、山田と花火を見ている。

もし、ジンクスが本当なら…。
そこまで考えて、俺はそんなバカな、と首を振る。
ジンクスなんて信じる柄じゃないくせに。

山田にしてみれば、俺と花火を見たところで何の得もないはずだ。
だって彼女が好きなのは手嶋先生なのだから。

「行くか」

俺が山田を一度抱え直し、再び歩きだそうとした瞬間、彼女は俺の肩に回していた腕に力を込めた。

「待って」
< 108 / 374 >

この作品をシェア

pagetop