バニラ
Vanilla3*例えるなら、バニラ*
恭吾を例えるなら、バニラだ。

シンプルで甘くて余計なものはいらない、恭吾はそんなイメージだ。


「――恭吾」

「んっ?」

「――メールが打てない」

携帯電話を持っている右手と恭吾と手をつないでいる左手、これが今のあたしの状況だ。

「困る?」

「困るって言うか…」

近い距離にいる訳だから、何だか見られているような気がして仕方がない。

いや、打っている内容は見られちゃ困る内容じゃないけど。

「何か理彩が俺以外のものに構ってると困る」

「メールなのに…ッ!」
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