四竜帝の大陸【青の大陸編】
『貴女は被害者だ。わが国の術士のせいで異界から連れてこられてしまった。言葉は通じてないようだが……。セイフォン・デイ・シーガズ・ダルド、心の底から謝罪する』

はあっ?
イケメン君、何言ってるの?
全く理解不能だよ……あ、頭を下げた。
どう見ても、私に謝ってるよね?
ひえ、女の子が私に土下座したっ!
なんか……こうまで謝られると逆に怖い。


言葉を勉強し始めてから知った。
事の詳細を。
あの日はダルド殿下の二十歳のお祝いで……王宮術士であるミー・メイが余興で異界の物を出す術式を披露した。
出すのは害の無い小さめな無機物のはずが、私が出てきてしまった。
ミー・メイは異界から引っ張ってきた物を返すことは考えてなかったから……。
一方通行の未完成な術式は禁術に指定され、私は殿下のお客扱いで王宮生活になった。
自分の誕生日の余興で私の人生をめちゃくちゃにしたと彼は後悔しているから、私にとっても良くしてくれた。
あれから10年たったけど、今もそれは変わらない。
10年たって、私は毎日とっても幸せだけど……殿下とミー・メイとも仲良くしてるけど許してはいない。
こんな理不尽なことが二度とおきてほしくないから。

だから、私は彼らを許さない。

私はここで本当に愛する存在を手に入れた。
けれど、私を失った家族の嘆きを想うから。

私は彼等を、許せない。



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