四竜帝の大陸【青の大陸編】
え~っと、減る発言は、今はスルーしてしまおう。

つがい名ってはお互いしか使わない名前ってこと?
竜の決まりごと?

「そうだ。他人が口にしたらそやつは殺されても文句は言えん。死んだら文句も何も無いがな。この竜族の風習は幼児だって知っている」

え!? 
じゃあ、鳥居って呼ばれなきゃなの?
りこはハクちゃん専用ってことで……。
それも竜の習慣なら、今後は気を付けないと!
 
では、ハクちゃん。
念を送ります!
むむむむ~ん……ど、どう?
聞こえてますか?

「……力まずとも、聞こえるんだがな」

そ、そうなんだ。





『私はセイフォン・デイ・シーガス・ダルド。セイフォン王国皇太子だ。この者は王宮術士ミー・メイ』

ハクちゃんの通訳を聞いて、心の中でガッツポーズをした。
やった、やっぱりだ!
やたら長いイケメン君の名前なんか、正直どうでもいいのよ。
重要だったのは立場……社会的地位。 
つまり、早い話が財力!
あんな着飾った人たちと広間でお誕生日会してたって事は、お金持ちだろうと推測できたし。
着ている物もお金がかかってるに間違いない。
白いタイツじゃないけど、いかにも王子様風。
ま、王子様じゃなくても財力さえあれば良かったんだけど。
なら、あの美少女のほうは王宮にお勤め……公務員ってことかな?
 
『私は禁を犯しました。故意では無くとも許されません。この身は<監視者>様に<処分>されるので貴女への償いが充分に出来ません。以後の事はダルド殿下にお願いしてあります。ご安心くださいませ』

儚い笑みにぎょっとした。
あ、そうだった。彼女は<処分>対象なんだ。
ハクちゃん、この件に関しては私が決めていい? 被害者の私にだって権利あるはず!

「何度も言った。我はりこの望みを優先する」

 うん。ありがとう。
 では、伝えてね。
 これが私の、彼等への<処分>だから。

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