四竜帝の大陸【青の大陸編】
ハクちゃんは可愛い。
侍女さん達は反論するだろうけど。
私にとってはかわいい竜。

だけど……ハクちゃんには生活能力が無い。
管理者だか監視者だかって仕事で収入があるとも考えずらいし。
つまり、プー。
プー太郎だ。
経済力ゼロ竜。
ご飯も食べない・服もいらないんだからお金が必要ないんだろうし。
だけど、私は人間だもの。
生きてくにはお金がかかる。
だからこそ、私を異世界に引っ張りこんじゃった責任として当面の間は皇太子君に援助してもらう計画なのよ!

ミー・メイちゃんには、私の家族に手紙を届けることができるような術式を完成させることを要求した。
これはかなり難易度が高いらしいけど。
ハクちゃんがぽろっと言ったんだよね……。

「ミー・メイの寿命が足りんかもな」

これって、すごい年月がかかるだろうってことで……。
でも、やってもらわなきゃ!
 
お母さん達に私の無事を知らせたいもの。
ミー・メイちゃんだって死ぬ気で頑張るって言ってるってハクちゃんが教えてくれたしね。

「ちょっと、今後について考えてただけだよ。ね、セシーさんとお話したいの。通訳お願いしていい?」
「嫌だ」

なっ……即答ですかっ!
 
「なんで? 協力してよっ」

私の望みはきくとか言ったくせに!
ひどいよ、ハクちゃん。

「我はこの女が嫌いだ。前から気に入らなかったがな。先ほど、はっきり嫌いになった」

 はい?

「現段階では我よりこの女のほうがりこの役に立っている。屈辱だ。忌々しい」

 ハクちゃんは私の膝で身体を丸めて、顔を隠してしまった。

「我のりこなのに」

拗ねた。

これは拗ねたに違いない! 
子供ですかっ……ま、歳は知らないけど。
まずい、まずいです。
ハクちゃんが通訳してくれなきゃ、話が進まないんだから。

「ハ……ハクちゃん、あの、その」
「トイレも風呂も嫌いだ。りこと離される」

うわっ! 
すねすねだぁああ! 
ど、どうしよう!?

「あ、あのさ。トイレは駄目だけど、お風呂は次からは一緒に入っていいしっ!」
「……」
「お湯の出し方も温度調節の方法も習ったから! 次は一緒だよ! ね?」

ハクちゃんを撫でながら話しかけた。
洗面所から追い出したことを、こんなに気にしてたとは!
そうでした。
眼から内臓の涙を出しちゃうほどの繊細っ子でしたね、君は! 
ママ(?)が悪かったです。
だから通訳して~!

「……りこ」

ハクちゃんが顔を上げた。
金の眼がくるんと回った。

「楽しみだな。次の風呂」

もしかして……計算?
ま、まさかね!?



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