薄暗い廊下を歩いて案内された。
静かな石畳みの廊下に間抜けな音が響く。

ぺたぺた……ぺたぺたぺた。

ああ、思い出した!
寝付けなかったから一階の台所に向かってたんだ。
ポカリでも飲もうかなって。

ぺた……ぺたぺたぺた。

だからスリッパを履いてた。
妙に頭が冴えてきた。
周囲の観察より、今後の自分の処遇が気になる。
う〜ん。
これって、高校生のときに夢中で読んだライトノベル的に言うなら‘異世界トリップ‘ってこと?
殴った手がまだ少し痛いから、現実ってことになる。
さっきの青年の様子からすると、望まれての事じゃないね……絶対。
ライトノベル的筋書きなら……魔王を倒すためとか、世界を救う鍵とか、封印を解くとか。
で、王子様・騎士・魔法使い・勇者等のうさんくさい職業の美形イケメンとハッピーエンドになるんだよね。
私はどうせなら職人さんとかを希望したい。
庶民の私じゃセレブ人種とは、価値観が絶対合わないし。
う……って、言うか私は来年の秋に挙式予定!

帰れなかったら?
どうしよう……家族や安岡さんに迷惑かけちゃう。
安岡さん……彼とはまだ恋人とは言えないような間だけど、私の婚約者。
お母さんの知り合いの息子さん。
紹介されて感じの良い人だったし、大手企業のお勤めだってお母さんが喜んでたから結婚してもいいかなって決めちゃったんだよね。
恋愛感情は無かったけど、結婚してから好きになるだろうって。
これって……友達がどんどん結婚してたから、焦っちゃったのかな。
こんな考えで結婚しようとしたから、ばちが当たったのかな?
ばち……。
もしかして生け贄とかで連れてこられたとか?
26歳の私に乙女の夢見る恋愛ファンタジーが用意されてるなんて、思い上がりだよね……。
女子高生の役割だよ、それは!

26の私じゃ、やっぱり生け贄コースっ!? 
 

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