リーシュコードにて



                 
 宮湖 文月








 ね、あの夏の果ての夜をこえて、


 私たち、大人になったよね……。







 玲子は、サーファーたちの憩いの場、


 『レストハウス リーシュコード』の店主。







 左膝に怪我をした19歳でサーファー時代にピリオドを打ってから、


 ビーチに映える白壁のリーシュコードにネオンをともし続けてきた。







 だけど……。






 「玲子、悪いけど、俺のボードの始末、


  お前に頼んでもいいか?」



 灼熱の青春時代の相棒、従兄妹の誠から突然かかってきた、別れの電話。







 「知ってた? 俺の初恋って、

                  
  実は玲子先輩だったよ」


                 
 そして、三年ぶりに再会した、サーフィンを愛する弟分の栄治は……。






 「……家族ごっこの次は、恋人ごっこ?」


 「そう、きっとまた楽しいよ」
 

 「……ん、無責任でいられるしね」






 人は、どうして輝いた時代に別れを告げて、


 それぞれの痛みを引き受ける大人にならなければいけないのだろう。





 

 「共にじゃなくても、生きていこうな、俺たち」






 背筋を伸ばし、涙を胸の内に飲みこんで、

 
 3人が大人になるための裁きを受け入れた


 夏の一夜の物語。  













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