リーシュコードにて
Ⅰ 別れの電話
Ⅰ 別れの電話
真夏。
17時を過ぎると、ビーチは夕暮れの気だるさを脱ぎ捨てて急速に活気づく。
高崎玲子は、開け放たれた窓辺で1人その空気を浴びているのが好きだ。
いばりちらしていた太陽が稲村ヶ崎の方に傾くと、
砂浜に咲き乱れていたパラソルは次々としおれ始める。
混みはじめる電車や道路をおそれて海水浴客が帰り支度を始め、
監視員の姿が消えた瞬間に、
海を取り戻したサーファーたちはボードを抱えて飛び出していく。
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