最後の恋、最高の恋。
Two encounters




「着いたよ」



言いながら車が静かに停車して、坂口さんがキーを回したタイミングで車のエンジンも止まった。

シートベルトを外しながらキョロキョロと辺りを見回してみるけど、車が止まっているのが駐車場だと分かるくらいで、他にはパジャマを買えるような店は全然見当たらない。

駐車場の周りは大きな木に囲まれていて、その向こうは木の隙間から見える限りでは遊歩道のようなものが続いてるようだ。

ついさっきまで知った道だったはずなのに、わき道に逸れてから見慣れない風景が広がって、こんなところがあったなんて今まで知らなかった。


「さ、降りて」


その言葉に促されるように、鞄を手にしてドアを開けて外に出ると、都会では感じられない自然の匂いに包まれた。

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