11月3日深夜2時過ぎ。
5周目から悪阻(つわり)がひどかった妻は、この日、悪阻の気持ち悪さがきっかけで、大きな発作が出た。

私はS大学病院の精神科に診てもらおうと思いS大学病院に電話をした。
対応は最悪だった。
一度も受診していない患者は対応出来ないとのこと。
産婦人科には行っていたが、精神科にはまだ行っていなかった。
その間、妻は発狂し大暴れ。
電話越しで、妻の悲痛な声が聞こえているにも関わらず、受診を拒否された事に愕然とした。
「なんて融通のきかない病院だ!」
と憤りを感じ、次に医療センターに電話した。
いくつか病院を紹介してもらい、電話したが、どこも拒否。
妊婦+パニック障害というのが、ネックになっていた。
友人から聞いた話だが、『妊婦+〇〇』と、妊娠以外に何かを抱えていると、病院はとことん冷たい(受け入れたがらない)と言っていた。
正にその通りだった。
どの病院に電話をしても、医療センターに相談するように促されたが、その医療センターに相談して病院に電話しているのに、全く話が進まず、堂々巡りだった。
最後にダメ元で、もう一度S大学病院に電話した。

発作が出てから既に1時間以上がたっていた。
やはり対応は相変わらずだった。
自傷行為を止める為に、妻を押さえ込んでいた為、電話は妻のすぐ近くでしていた。
受け入れを拒否された事に気付いた妻は、
「人殺しーっ人殺しーっ人殺しーっ!」
と、電話に向かって叫んだ。
自分の命に加えて、お腹の中の命も気掛かりだった。
妻は発狂しながら、泣きじゃくりながら、苦しみながらも、
「ゴマちゃんが死んじゃう。ゴマちゃんが死んじゃう。」
と、ゴマちゃんの事を気にかけていた。
妻の「人殺しーっ!」が効いたのか、病院側も少し聞く耳を持つようになった。
私が元々の発作の原因を悪阻だという事を伝えると、精神科では診れないが、悪阻が酷いということで、産婦人科で受け入れるという事になった。
とにかく病院に行きたかった私は、それで了承し、車でS大学病院まで行った。
病院に着く頃には、少しは落ち着いていたが、まだきつそうだった。
とても感じの良い産婦人科の先生が迎えてくれ、
「赤ちゃん見たら元気になるよ。」
と言ってくれ、エコーで見せてくれた。
悲痛でボロボロだった妻の顔に、ほんの少しの笑顔が戻った。
ゴマちゃんは元気に大きくなっていた。

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