こちらミクモ探偵事務所2

「誰も何も無いッスよ。知らないんスか?僕の事」

男は軽い声で言う。

「あいにくだが知らん」

紘哉が答えると、羽兎が彼の脇腹を肘で突っついた。
そしてコソコソと話し掛ける。

「知らないハズが無いでしょうが!
『探偵界の貴公子』くらい聞いたことがあるでしょ?」

「それくらいだったら。実際は見たことねぇけどな」

「その本人!目の前にいる人!」

「シャラオか……」

「その名前で呼ばないで欲しいッス」

紘哉が呟くと、男は整った顔を歪めた。

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