「璃音(りおん)」

「光希(こうき)……」


幻聴かと思われるその声に顔を上げる。



「璃音、久しぶりだね。
車いす、動かせるようになったんだね」

彼の思わぬ訪問に、ひどく動揺して声も出ない。




「璃音はここが好きなんだね」

「――うん……」


ここから見える景色は、どんな一流の芸術品よりすばらしいと思う。



「今日は波が穏やかだ」

「うん。風も」


遠くに見える緑に染まった山と、うっすらと白く泡立つ波。そして、雲一つない青空が、私の心の隅々まで栄養を届けてくれる。