人が変わったような圭吾さんの告白に耐えられなくなった私は、コートとバッグを手にすると行く先も考えずに家を飛び出した。

悲しくて、悔しくて涙が頬をとめどなく伝う。足を止めたらもう一生、人生を歩いて行けないような気がした私は、ただがむしゃらに足を動かした。



圭吾さんがどうして私に結婚前提の交際を申し込んだのか、今なら理由がわかる。

目的はズバリ私のお金。黒髪の地味なアラサーの私を見て、それなりに貯め込んでいると思ったんだろう。

圭吾さんは私と結婚したかったのではなく、私の貯金と結婚したかったんだ……。

そして圭吾さんがどうして私と一緒に暮らすと言い出したのかも、今なら理由がわかる。

それは家賃と食費を削るため。実際、一緒に暮らし始めた圭吾さんが生活費を一度もくれたことがなかったことに、さっき気づいた。

三十歳にもなってコロッと騙されるなんて、バカみたい……。

悲しみに打ちひしがれてトボトボと歩いていると、ドンと肩に衝撃が走る。

「どこ見てんだよ。気をつけろっ!」

流れる涙を隠すために俯いていた私は、男の人とすれ違いざまに肩がぶつかってしまった。

「あ、すみません」

足を止めて、慌てて頭を下げる。そしてゆっくりと顔を上げると、キラキラとまぶしく光を放つ、イルミネーションが目に飛び込んできた。

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