恋する24時

 カチッ、コチッ、カチッ、コチッ…――





 時計の音が聞こえる。



 大きな手が額に触れて

 少ししたら

 冷たいタオルがのった。





『亜美、行ってくるよ?』





 あっ、まって

 いかないで?



 大きな手をアタシは

 すがるように捕まえる。





『帰りにみかんの缶詰、買ってきてあげるから…――』





 大きな手が頭を撫でる

 低くてやさしい声のトーン



 アタシはホッとして

 その人を呼ぶ



 ありがとう、おとうさん…――





「――…おとう、さん?」





 えっ!?




 自分の声に驚いて

 目を開けると

 そこは、印南先輩のお家の

 アタシの部屋の天井だった。





「……?」





 カチッ、コチッ、カチッ、コチッ…――





 リヴィングの時計の音が

 一際大きく聞こえてくる。





「……ゆ、め?」




 まだ心臓がドキドキ言っている。



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