苦く甘い恋をする。
だよね? だよね? うんうん、そうだよね?


痴話ゲンカしながら、会社に入るとかね。


痴話ゲンカで、人攫いとか、誘拐犯とか、拉致とか叫ばれてもねぇ……。


うん、社会人としてというより、人として間違ってる気がするよね。


「はは……」


私は警備さんと顔を見合わせて、苦笑した。


うん、ここはこのままやり過ごそう。


下手に言い訳すると、もっと格好悪いことになりそうだし。


「はは……」


若干口元を引きつらせながらも、私はお得意の愛想笑いを浮かべつつ、長谷川くんについていった。
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