初恋の実らせ方
初恋の甘い日々
翌朝。
彩は目覚まし時計を止めて鏡の前に立った。


昨夜なかなか寝付けなかったせいで頭がぼーっとしてるけど、心なしか、いつもよりお肌の調子はいいみたい。


昨日の啓吾の言葉が未だに信じられなくて、彩は自分の頬をつねってみる。


うん、夢じゃない。
鏡の中の自分に言い聞かせる。


啓吾と両思いなんだ。


彩は支度をして家を出ると、塀にもたれかかりながら啓吾を待った。


待つのはちっとも苦にならなくて、彩に気付いて微笑む啓吾を想像するだけでなんだかくすぐったい。


隣の家の扉が開く音がして、彩は期待を胸に振り返った。


だけど。


「あれ、彩じゃん」


出てきたのは英知だった。
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